新市立病院のあり方を考える市民の会

松本市立病院問題Q&A

病院の経営は
うまくいっていますか?

平成23年から令和4年度まで12年間ずっと赤字経営です。市や新聞は「黒字」と発表してきましたが、これは「赤字」を税金で埋めて見かけ上「黒字」にしているからです。経営改革しないで税金で毎年数億円の赤字を補うのは理不尽です。

なぜ、市立病院は
慢性赤字なのですか?

少ない収入と莫大な人件費。専門医療や高度救急ができないので、急性期と手術患者が集まらず、一般診療と軽・中等症の救急が主の病院です。にもかかわらず、多い医師と看護師。県内自治体病院で断トツの人件費比率です。

病院を利用される
患者さんは増えていますか?

コロナ後は全国の平均として、外来は12.1%、入院は8.4%減少しています。市立病院の外来は9%、入院は5%減少しています。
患者さんが増え、病床が95%以上埋まる安易な予想をしていますが、あり得ないことです。松本市立病院を名乗っていますが、西山地区が入院の45%、外来の57.3%。他は和田、山形村、朝日村等であり、実態は「地域密着型病院」です。

設計業者の選定で疑惑があったと
報道されましたが本当ですか?

設計業者選定は、競争入札ではなくプロポーザル方式を採用。しかし、同方式は発注者の恣意が働きやすく、最高値で決定されることが往々にしてある。プロポーザルを悪用すれば、金額を考えず思い通りのものができます。選定に関わった5人の内4人が病院関係者と副市長です。設計業者に4階建てで注文し、4社が4階で応募。唯一、5階建てで応募してきた意中の1業者に決めました。そのため、市議会、市民、建設業界から疑惑があると言われています。

なぜ、建設場所を波田駅前の
中央運動広場にしたのですか?

①駅前病院で駅周辺が賑わうという市長の願望。②他の候補地は農地で、宅地への転用に時間がかかる。③広場南側の法面工事で敷地は安全になった。しかし、地震を想定した全体の地形調査をしていないにもかかわらず、市議会議員が市長に同調してしまったからです。

中央運動広場は
安全な場所ですか?

安全でありません。大昔ですが、波田駅周辺と現病院は地震で陥没した場所です。南北に脆い河岸段丘があり、大地震が起これば中央運動広場の南斜面は崩落。中段を流れる農業用水路から大量(200トン/分)の水が溢れ出る危険な場所です。県道は、急で凍結する坂道。進入道路、駅周辺整備、運動広場移転で更に数十億円かかります。

市立病院の経営改革は
うまくゆくでしょうか?

慢性赤字の原因である支出の削減をしない限り失敗するでしょう。患者の増加を期待して手術患者の倍増、入院患者の単価を63,500円にしても高度医療や専門医療が出来ないので経営は改善しません。患者さんが病院を選ぶ時代です。

建設費は病院が銀行から借りるお金と聞きますが、病院はこれをきちんと返済できるのでしょうか?

病院の起債(金利を含む)が180億円の1/2と仮定すれば、90億円を30年間で返さねばなりません。そのためには、毎年3億円の利益が必要になりますが不可能です。繰入金(税金投入)を増やして起債を棒引きにするのは財政規律を壊してしまいます。

医療者は
賛成しているのでしょうか?

医療者は2017年から大きな病院に反対です。市立病院は回復期・リハビリを主とした「地域密着型病院」です。しかし、建設基本計画は急性期を主とし救急医療に力を入れ、政策医療を行うとしています。実績が乏しいのに金がかかる広い病院にするつもりです。これでは、国の医療政策に反し松本医療圏の需給バランスと信頼関係を崩し、巨額な投資は無駄と考えるからです。

松本市は急いで病院を建て替える
必要があるのでしょうか?

そもそも、病院の老朽化が真の理由ではありません。撤退会社の5.6万m2の土地を買取るための「苦しい理由づけ」として市立病院の移転新築が考えられました。土地買取りは汚染があり断念しました。松本市全体の事業優先順位では、下位です。コロナ禍で経営は不透明であり、超物価高。慢性赤字の病院は、経営立直しが一番の課題のはずです。市立病院新築は慎重でなければ、大切な「地域密着型病院」が潰れてしまいます。

市長は、市立病院は5年連続黒字との
記者会見をしましたが本当ですか?

全くの嘘で、見かけだけの黒字にすぎません。2023年度の経常利益が3.7億円強で5年連続黒字は帳簿上だけであり、国からのコロナ補助金、市の一般会計からの繰入れ(税金)がなければ大赤字です。入院患者増はコロナ患者9.5%含まれるので増加していますが、外来患者は14.5%減少しています。市内の急性期病院では収入増でも支出が大幅に増え、経常収支は3億円の赤字になっています。特徴がない中小病院が、黒字にはなるわけがありません。

市議会は市政を監視するのが
役割のはずだが?

日本中の病院が規模の縮小と撤退を余儀なくされています。西山地区(波田、奈川、安曇)の人口は2万人弱で、巨額な病院は赤字で維持できません。市議会議員は、専門知識を持っていないし、判断基準が何なのかわからないので、医療や病院建設を議論することは難しいのです。しかし、“病院の言うことはきっと正しいのだろう” で結論を出すなら、病院が潰れる恐ろしいことになります。市民が市議会のあり方について正しく知ることこそ、極めて重要だと考えます。

市民が無関心で
黙っていればどうなりますか?

危険で狭い駅前の中央運動広場に作る病院は、人件費と資材高騰で補正予算が増額され、業者の選定は時間がかかるでしょう。万一、病院ができても、専門医療や高度医療ができなく、特徴がない病院は大赤字で毎年、市が税金を10億円近くつぎ込まない限り潰れるでしょう。

波田に巨額病院を
つくる必要はありますか?

杜撰な計画によって潰れる巨額病院をつくる必要はありません。被害を被るのは市民です。財政にヒビが入り市民生活ための重要事業が全て先送りされます。
新病院は巨額(拡大方針)から身の丈にあった(縮小方針)に切り替える必要があります。

波田に巨額病院を建てれば
潰れると言うのは本当ですか?

本当です。広くて豪華ですが、診療科は少なく目玉がありません。病院が出す赤字は市民の税金が埋めて当然と考えています。厳しい医療情勢に対応できないので、潰れる危険が大きいのは本当です。破綻を防ぐには毎年10億円以上の税金が必要になります。

病院建設計画は誤魔化しの産物ではないですか?このまま強行するのですか?その前に民意を問うべきではないですか?

その通りです。2回とも茶番劇を演じています。嘘と欺瞞だらけの計画は即刻中止すべきです。市長が選挙公約になかったことを強行するなら松本市民の民意を問うべきです。

国の医療政策の大転換と
市立病院の役割は何ですか?

日本は高齢化と人口減少が急激に進んでいます。厚労省は指針で、全病院が急性期医療を行うのでなく、高度救急や専門医療を行う「広域型救急病院」と回復期・リハビリを行う在宅療養を支援する「地域密着型病院」の2群にわけ、各医療圏で病院の役割分担と連携を決めました。市立病院の役割は後者になります。

市立病院の診療科は
幾つありますか?

常勤は内科、小児科、産婦人科、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、麻酔科です。眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科は非常勤です。人工透析と松本医療圏の救急医療を輪番当番日に行っています。

病院建設は
なぜ巨額になったのでしょうか?

①管理者が総合病院化に拘り急性期対応も考えて、大きな外来棟や広い手術室を望んでいるからです。②円安と物価高で建築資材の値上がりと人件費の値上がりで当初は47%、最近は70%近くまで値上がりするとされています。180億円は値上がりした数字です。

赤字の原因は
何ですか?

過剰な医師と看護師に支払う他の病院より高い人件費が病院収入(入院・外来)の75%を占めているからです。これらは、4年前より指摘されています。健全経営の目安である給与比率は60%台ですが、県内の自治体病院と比較して明らかに高いです。しかし、市立病院職員は削減に絶対反対しています。

国は自治体病院に「経営強化プラン」の策定を
指示したと聞きますが?

2016年に「経営ガイドライン」、2023年「経営強化プラン」を求めています。しかし、市立病院は言うことを聞かず、これらに沿ったものを作成していません。

市立病院が独自に作った「経営強化プラン」で
経営は改善するでしょうか?

市議会特別委員会で、経営方針を①病床稼働率95.4%を維持する。②患者さんの病床単価を上げる。③手術件数を2倍に増すと強弁していますが、病院を選ぶのは患者さんですから実現は難しいでしょう。

市長はなぜ、そんな場所に180億円もの
巨額な病院を建てようとするのですか?

こればかりは、市長に聞いてみないとわかりません。