市立病院の病床稼働率95.4%は不可能です
1.2019年7月と2023年7月を比較した厚労省の全国病院の調査報告は以下であった。市立病院の外来患者の減少が低いのは、開業医が少ないので病院が受け皿になっているからである。厚労省はコロナ感染や地域の事情で、当面患者の減少傾向は続くと考えている。
- ○入院は全国で8.4%の減少。市立病院は9.0%の減少。
- ○外来は全国で12.1%の減少。市立病院は5.0%の減少。
- ○一般病床の稼働率は71.4%と依然低い水準。
2.市立病院は稼働率を上げるのに必死になっている。管理者は5月23日の厚生委員会で稼働率は94.5%、その後事務長は97%と報告している。現在の病床数は180床であるが、感染症の6床を外して174床で計算している。170人/174床は97.3%、160人/174床は90.4%、150人/174床は86.2%になる。
現在97%といっても、瞬間風速のようなものである。コロナ前の経営が安定していた時期の稼働率が78%台であったのが突然95%以上になったとしても、一年を通じて95%以上維持することは困難である。市内の急性期病院でも85%前後である。
市立病院は未だに稼働率だけでは、病院経営が出来ないことを理解しない。
病院局が特別委員会に示した経営予想は、左:稼働率95%、右:稼働率90%としている。
① パターンA:稼働率を急性期96.2%、回復リハを95.1%、地域包括を94.4%にすれば、開院7年目から安定する。また、純益の黒字転換により繰越欠損金が微減し安定した運転資金が生まれる。
② パターンB:稼働率を急性期89.9%、回復リハを90.2%、地域包括を90.7%%にすれば、純利益は赤字が持続し累積欠損金が増加して運転資金が不足する。
市立病院の稼働率は従来80%台である。病院局が示した経営予想は95%を切れば経営が破綻することを自ら証明した。市議会議員はなぜ破綻すると分かっている計画を賛成するのでしょうか?
常識では、経営不能な施設を作ることはあり得ない。市が赤字の全額を肩代わりすると約束したとしか思えない。
図のとおり市立病院は病床稼働率を95%以上(パターンA)にしないと破綻することを自白している。95%以上はあり得ないので経営は成立しない。結局、潰れる病院を建てることになる。
3.結果、95.4%の病床稼働率を維持することは出来ない。
全病床では80%前半になるのではないか。無理やり入院させ、不要な検査をすることは医師のモラルに反し、患者さんの不評を買うことになる。病院を選ぶのは患者さんですから。