新市立病院のあり方を考える市民の会

なぜ臥雲市長は180億円の巨額な病院を建てようとするのか

臥雲市長が公約の一つに掲げた、「市立病院(旧波田総合病院)の移転計画は、地域密着型病院の原点に立ち、代替用地の再検討を含めて早急に見直しを図ります。」―がこの問題のスタートであった。

市長は専門者会議の提言を受け、経営改革と国の方針にあった病院建設を了承したはずであった。その後、病院側の猛反対にあい迷走した。繰り返して書く。市長は「地域密着型病院の原点に立ち」が公約。一方で、市立病院は建設基本計画の中で急性期主体の公立病院をはっきりと掲げた。両者の違いを分かった上で、市立病院を擁護している市長は、地域医療を冒涜している。

菅谷市長時代の、杜撰な建設計画が凍結され、専門者会議は慢性赤字病院を分析し、高い人件費と人事体系と診療科の見直しが必要であると提言したが、市立病院は拒否した。そんな権限はないはずである。市立病院は赤字を出しても市が穴埋めして当然という依存体質は変わらない。赤字の原因である高い人件費と人事体系と診療科の見直しは先送りして、強引に病院を建ててしまうことは暴挙である。

新病院は、当初から大赤字で、運営のため10年間で70億円の税金を注ぎ込む病院になる。さらに、建設費の高騰で87億円の総事業費は180億円に膨れ上がると想定される。

市長が180度態度を変えた訳は、「病院を建てて、波田駅前を賑わそう」を主張したいがために、大きくて立派な病院の方が良いと考えたのであろう。しかし、命を預かり、心の安寧を齎す病院を「賑わいづくり」に利用しようとするのは、市民と医療者に対する冒涜ではないのか。伊那中央病院は新築に際し、天竜川の氾濫を危惧し市内から遠く離れた、静かな高台に移転している。建設場所を危険で狭隘な駅前にしたのは常識を逸脱している。どこの首長も災害に強い街づくりを目指している時代である。

松本市は長野県で一番、医療が整備されています。西山地区の病院は「コンパクト」があるべき姿だと考えます。経営改革をしないで建設を急ぐことは、順番が逆です。松本市に立ち止まる勇気がなければ、大赤字で「潰れる病院」を作ることになります。現幹部は辞めています。誰がその責任を取るのですか?市民は、そんな病院建設を望むだろうか。今、「不要な箱物」を作る時ではない。

令和8年、5階建ての市立病院完成予想図

みんなの問題として市民と議員で考えましょう

※2024年1月25日 病院建設特別委員会資料