新市立病院のあり方を考える市民の会

新・松本市立病院建設計画の徹底検証:市民が知るべき5つの重大リスクと未来への提言

松本医療圏における市立病院の役割を再定義する。
「大きな病院=良い病院」という幻想を捨てる。
持続可能な未来への「プランB」を示します

序章:なぜ今、この計画を問い直す必要があるのか

本稿は、新・松本市立病院建設計画について、松本市民が知るべき重要な論点を示す。
この計画は、単なる公共事業ではない。市の財政、未来の医療供給体制、そして何よりも市民一人ひとりの安全に直接関わる、極めて重大な決定である。市の未来を左右する岐路に立っている今だからこそ、私たちは立ち止まり、計画の全体像を冷静に問い直す必要がある。

本稿の目的は、市の公式発表では見えにくい計画の潜在的リスクを、客観的かつ体系的に分析することにある。具体的には、「統治(ガバナンス)」「財政」「経営」「安全性」「場所」という5つの視点から、計画が内包する深刻な問題を多角的に検証する。これにより、市民が感情論や断片的な情報に流されることなく、事実に基づいた冷静な判断を下すための基礎資料を提供することを目指す。

本稿は徹底的なリスク分析を通じ、現行計画の白紙撤回を求めると同時に、より現実的で市民の利益に資する「身の丈に合う病院」への転換を提言する。これは、未来の松本市にとって真に持続可能で、地域に貢献する病院のあり方を模索する建設的な問題提起である。

第1章:計画の根幹を揺るがす5つの重大リスク

1. 統治(ガバナンス)と法令順守の崩壊

健全な行政運営において、統治(ガバナンス)と法令順守(コンプライアンス)は、その根幹をなす絶対的な基盤である。しかし、新・松本市立病院建設計画では最も重要な原則が壊された。目的のために手段を選ばない姿勢が、行政プロセス全体を歪め、後述する財政、経営、安全性の各リスクを生み出す根源となっている。

市の意思決定プロセスにおける具体的な問題点は、以下の通りである。

  • 専門家の「提言」の黙殺 市の要請に基づき、医療の専門家たちが国の医療政策や経営分析を踏まえて策定した「経営改善と病院の縮小」という提言は、極めて現実的かつ合理的なものであった。しかし市長は、この提言に反対する病院管理者の影響を受け「見直し骨子案」に改竄した。医療の専門家知見を軽んじ、客観的データをないがしろにする姿勢は、健全な政策決定の放棄に他ならない。
  • 利益相反の黙認 市は、病院の要望を取りまとめて市に提出する「事務部長」と、その要望内容をチェックし承認する「病院局長」という、本来であれば相互に牽制し合うべき役職を、同一人物に兼任させるという非常識な人事を行った。これにより、大型医療機器の前倒し購入など、病院の要求が何の検証もなく受け入れられる体制が作られた。これは、チェック機能が完全に失われた利益相反の状態を、市自らが作り出したことを意味する。
  • 不透明な業者選定 基本設計業者の選定過程は、法令順守の精神が決定的に欠如していることを示している。市は公募条件として「4階建て」としたにもかかわらず、唯一「5階建て」を提案した特定の業者を選定した。これは、他の応募業者を不当に排除する行為で、明確に**「市の公契約条例違反」**に相当する。公契約条例は、税金の公正かつ効率的な使用を保証し、特定の業者との癒着を防ぐための市民の防衛線です。これを市自らが破ることは、税金の私物化への扉を開くに等しい行為です。 
  • 誰も責任を取らない:大赤字を垂れ流し、データ改竄や隠蔽、フェイクニュース、法令違反をしても責任を問わない。市がけじめを付けないことが市立病院をダメにしている。
    ※A20:管理者は基本設計業者の選定で不正を犯した

このガバナンスの欠如は、単なる手続き上の瑕疵ではない。市の行政に対する業者や市民の信頼を失墜させ、次々と露呈する財政や経営のより深刻なリスクへと直接繋がっていく、全ての過ちの出発点なのである。

2. 市の財政能力を蝕む財政的リスク

大規模な公共事業を推進する上で、財政的な実行可能性の確保は、市民生活を守るための最重要課題である。しかし、本計画は松本市の財政能力を大幅に超えており福祉や教育、インフラの整備といった他の必須サービスを圧迫し市民生活全体を脅かす深刻なリスクになる。

市の財政規模と事業費の乖離

計画されている事業規模がいかに市の財政にとって過大であるかは、以下のデータを見れば一目瞭然である。

総事業費200億円以上
(内訳)総事業費用153億円
(内訳)銀行金利50億円
(内訳)ごみ焼却・市庁舎・駅周辺整備費他(上記に加算)
松本市の財政状況 貯金(令和6年度)447億円強
借金(令和6年度)970億円強

総事業費200億円以上という金額は、市の貯金(財政調整基金等)の約半分に迫る規模である。さらに、市が既に970億円強という巨額の借金を抱えている現状を考慮すれば、この新規投資が市の財政に与える影響は計り知れない。これは市の財政基盤を揺るがしかねない、極めて危険な賭けである。

非現実的な償還計画

計画では、総事業費153億円の半額にあたる76億円を、病院の事業利益から30年間で市に償還することになっている。これを達成するには、単純計算で年間2.5億円以上の純利益(76億円 ÷ 30年 ≒ 2.53億円)を30年間、継続的に確保し続けなければならない。

しかし、市立病院は過去6年連続で赤字を計上しており、税金による補填に依存する体質が常態化している。元病院長は責任を取らず病院に残っている。過去6年連続で赤字を垂れ流し、税金で穴埋めしてきた病院が、突如として利益を生み出し続けるという計画は、希望的観測を通り越して幻想と言わざるを得ません。急性期患者の3.8%しか市立病院を利用していないデータもある。これはまさに「財政を100%無視した潰れる計画」である。
※A22-9:巨額病院建設とでたらめな経営予想は自殺行為

隠れたコストの恐怖

「建設費」は氷山の一角に過ぎません。最も危惧するのは、完成後に30年、40年と続く「ランニングコスト(維持管理費)」です。

身の丈に合わない「ハコモノ」は、以下のコストで将来世代の税金を食いつぶします。

  • 減価償却費: 豪華な建物・医療機器は毎年の決算を圧迫。
  • 機器更新費: 高度医療機器は5-7年ごとに数億円の更新が必要。
  • 光熱水費: 面積が広ければ広いほど、維持費は幾何級数的に増大。

ライフサイクルコスト(30年試算)のイメージです。
建設費(イニシャル)vs 維持管理費(ランニング)

インフレ見通しの楽観性への反論

「インフレによる税収増が財源になる」という市長の見解は、極めて楽観的かつ一面的である。インフレは税収を増やす一方で、市役所や病院の運営コスト(人件費、光熱費、資材費など)も同様に高騰させる。結果として増収分はコスト増によって相殺され、財政状況の根本的な改善には繋がらない。そもそも、インフレによる税収増は、特定の事業に充当されるべきものではなく、全市民の生活を支えるために還元されるべき財産である。

これらの財政的リスクは、単独で存在する問題ではない。実現不可能な償還計画は、次章で詳述する病院経営の持続可能性という、さらに根深い問題と密接に連動しているのである。この非現実的な財政計画がまかり通るのは、市長や市議会が、公会計の基本原則を理解・適用する「財政リテラシー」を決定的に欠いていることの証左です。

3. 病院経営の持続可能性という幻想

公立病院における経営の持続可能性とは、単に黒字を出すことではない。それは、地域住民に対し、質の高い医療を安定的かつ継続的に提供し続けるという根源的な使命そのものである。しかし、本計画は国の医療政策から大きく乖離し、非現実的な構想に基づいているため、その使命自体を危うくしている。

国の医療政策との「逆行」

国が推進する医療政策の基本方針は**「集中と特化」**である。これは、高度な手術や救急医療といった「高度急性期機能」を特定の基幹病院に集約し、200床未満の中小病院は、増加する高齢者の回復期医療や在宅復帰支援に注力するという役割分担を目指すものである。

新病院計画は、この国の方針に完全に「逆行」している。人口減少と高齢化が進行する地域において、急性期医療を主軸とする大規模な投資を行うことは、地域の実情にも国の医療方針にも合致しない**「戦略的ミスマッチ」**である。

「実現不可能」な過剰投資

計画の非現実性は、以下の具体的な点からも明らかである。

  • 診療科の構成: 26もの診療科を標榜しているが、常勤医が配置されているのは実質わずか6科に過ぎない。この人員体制で多様な診療科を運営することは到底不可能であり、もはや「妄想」の域にある。
  • 施設の過剰性: 180床という病床数に対し、不釣り合いに広大な外来・検査室、さらに3室もの手術室を備える計画は、明らかに過剰な設備投資である。
  • 高額医療機器の導入: 高度医療への対応を名目に、必要性が不明確なまま高額医療機器を、既に前倒しで購入しており、過剰投資をさらに助長している。

信頼性を欠く経営データ

経営陣による情報開示の姿勢にも重大な疑問符がつく。コロナ禍において国や市からの多額の補助金によって一時的に黒字化したにもかかわらず、これを自己の経営努力の成果であるかのように発表した。さらに、「病床稼働率の上昇」という報告についても、人為的な操作の疑惑が指摘されている。

年度平均在院日数病床稼働率病床回転数(年間退院患者数/病床)
2023年8.3日73.40%32.4
2024年10.0日89.20%32.6

上の計算が示すように、1病床あたりが年間に診た患者数(病床回転数)は両年度でほぼ同じ「32」である。これは、平均在院日数を人為的に延ばすことで、見かけ上の病床稼働率を高く見せかけたのではないかという強い疑惑を生じさせる。このような信頼性に欠けるデータに基づいて、巨額の投資判断を行うことは極めて危険である。松本地域の急性期患者の3.8%しか市立病院を利用していないデーターがある(2023年度 松本広域圏病院調査)。

経営計画におけるこれらの根本的な欠陥は、単なる運営上の課題に留まらない。それは、医療機関として最も重要な「患者の安全」という問題に直接繋がり、国家レベルの医療政策を理解し地域戦略に落とし込むという経営リテラシーの欠如を露呈している。

4. 軽視される患者の安全性

医療機関にとって、患者の安全確保は他のいかなる目的にも優先される絶対的な使命である。しかし、現行の計画と病院の体制には、この根源的な使命を脅かす深刻な構造的欠陥が存在する。
A38:市立病院職員からの告発状

医療体制の構造的欠陥

職員からの告発状によって指摘されている通り、現在の市立病院は組織的な構造問題を抱えている。

  • 手術や救急対応に不可欠な麻酔科医や放射線技師が不在となる状況が発生している。
  • 専門医による誤診や管理者による死亡事故の隠蔽があったと指摘されている。
  • 患者の容態が急変するリスクがあるにもかかわらず、主治医が不在となる体制が常態化している。
  • 病院長が高齢患者の誤診と対応不足を医療過誤として認め家族に謝罪した。市長が病院に注意するのが普通である。しかし、市長は気にいらず、東京の弁護士を雇った。
    市長が医療問題に介入することは極めて異例である。病院は一体どうするつもりか?
    けじめをつけないなら、地域の高齢者を大切に扱わない病院と言われる。

これらは個別のインシデントではなく、患者の安全を日常的に危険に晒すシステム上の欠陥である。

周産期医療における象徴的インシデント

産科で発生した医療過誤は、このシステム上の欠陥を象徴する事例である。この事例では、当初、助産師個人の報告遅れが原因とされたが、本質的な問題はそこにはない。緊急帝王切開に迅速に対応するための**「麻酔科医がいなかったのが最大のミス」**なのである。これは、個人の過誤ではなく、必要な専門スタッフを配置できない病院全体の体制不備に起因するものであり、このような体制で周産期医療を続けてきたこと自体が、極めて高いリスクであったことを示している。

建設地そのものが持つ物理的リスク

医療体制の問題に加え、建設予定地そのものも物理的な危険性をはらんでいる。市は、糸魚川〜静岡構造線断層帯で発生する地震について「波田地区では震度5以下だから心配ない」と楽観視しているが、地震の発生時期や規模は予測不可能であり、あまりにも安易である。市の説明とは裏腹に、建設予定地は事実上の**「レッドゾーン」(危険区域)であり、その危険性は解消されていません。さらに、建設地は河岸段丘の崩落リスクや、大量の水が流れる農業用水路の存在**といった具体的な危険要因も指摘されており、患者の命と安全が最優先されるべき医療施設の立地として、根本的な疑問がある。

専門スタッフの不足から医療過誤、そして建設地の危険性に至るまで、患者の安全は多方面から根本的に脅かされている。この安全性の問題が、前述の財政・経営リスクと結びつき、本計画がいかに多重のリスクを抱えた脆弱なものであるかを浮き彫りにしている。これは、人命に関わるリスクを適切に評価・管理する危機管理リテラシーの欠如に他ならない。

5. 市立病院建設場所の選択は安易でセオリーを無視している
  〜これは行政がしてはいけないことである〜

市立病院建設は、基本計画から見直しをするというが、危険で狭い場所の見直しも必要である。現在の場所は、前副市長が、財政部長、危機管理部長、建設部長、健康福祉部長と相談して決めた。市が建設場所の安全性を担保するなら異論はない。駅周辺に支所、JA、中学校があるので、病院を建てても問題ないとの認識であった。推奨した理由は、

  • 中央運動広場は市有地なので、新たに土地を買わずに済むは(嘘)、代替え地の購入と整備で6.5億円かかる。駅前ビルの撤去と道路整備にも費用がかる。
  • 農地を宅地に転換するのに4年かかるは(嘘)、半年もかからない。
  • 広場の南斜面の工事でイエローゾーンが解除できるは(嘘)、レッドゾーン(危険区域)が残っている。
  • 駅前に作れば便利であるは(嘘)、殆どの患者さんは波田駅を利用しない。
  • 現在の病院も利用できるは(嘘)、非効率である。
  • 河岸段丘中段に農業用水路(波田せぎ)があること、現病院の農業用水路より上部に対し抜本的な地滑り対策である「コンクリート製の法面枠」による広範な工事をしているが、中央運動広場はそれが不可能である議論はなかった。市は、駅前の中央運動広場がレッドゾーンのままであるという認識が全くなかった。

このメンバーで現地の視察はしてない。また、波田町時代に町幹部と病院幹部が新病院を建てる際は、安全な波田健康福祉センター周辺を強く望み、町側が了承していた経緯を知らなかったのである。
運動広場の農業用水路の下の斜面を広場に面した部分の工事を指揮したのは、病院建設課長(土木技師)である。彼はジオファイバー工法を採用したが、斜面の一部に土砂災害防止を行なったに過ぎなく、運動広場の上を流れる「せぎ」の上や地震対策について全く考えていないと述べた。
管理者は事情をよく知る当時の建設・企画・総務課長の三人を更迭している。また、前病院長や職員に運動広場に反対すれば病院が建たなくなると言って沈黙させた。
管理者は30年以内に16%の確率で起こる震度7程度の糸魚川〜静岡構造線帯地震に対し波田は震度5以下だから問題ないと述べている。しかし現在、地震の予知と規模は不可能。危険の恐れがある場所に病院を建てることは、危機管理の原則から、あってはならないことである。驚くべきことは、副市長、財政部長は、危機管理部長・危機管理課長として松本市の災害対策に深く、長く関わった人物である。立地適正化(都市計画区域を拡大させない、コンパクトシティ構想を推進)という、地方における都市計画の主流的思考に流された部分もあるかと思われる。しかし、レッドゾーン(危険区域)に建てさせないという、立地適正化におけるもう一つの視点はどこにいったのか(戦犯グループに建設部長がいたにもかかわらず)。波田における福祉避難所が集中している場所は波田健康福祉センター周辺である。市営バス(ハイエース)が積雪時や路面凍結時には国道158号線から登る県道25号線が上がれなくて、運休が頻発すること、公共施設管理計画において公共施設は2割削減等々、中央運動広場の利点は少なく、欠点ばかりが目立ちます。

副市長は安易な道を選んでしまった。議員は真相が分からず賛成したが、どっちもどっちである。市長は駅前病院が街おこしになると勘違いした。松本市の判断は、無知と傲慢が際立っている。
臥雲市長は記者会見で「土砂災害危険区域に制度上の制限はない、建物が区域にかからない方針で臨む」という非常識な発言をしている。
独裁体制の一番恐ろしいところは、意思決定に関わらない者(独裁なのでほとんどの者は関われません)は全てに無関心になること。その意味において、現体制の一番いけない部分が如実に現れた事例になっている。

間違いは正せば良いのである。孔子の教えである「過ちて改めず、是を過ちと謂う」を心得に、松本市と議員は一から見直す責任があるのではないか。

6. 根本原因としての「リテラシーの欠如」

これまで詳述した統治の崩壊、財政計画の破綻、経営の迷走、そして安全性の軽視は、すべてこの「リテラシーの欠如」という一点に収斂します。ここで言うリテラシーとは、単なる知識の有無ではない。客観的な情報を適切に収集・活用し、合理的な判断を下す能力そのものである。主体ごとに、リテラシーが欠如した具体的な判断は以下の通りである。

  • 病院管理者 第1で指摘した通り専門家の提言を無視し、第2で検証した財政的に成り立たない「巨額病院」計画を推進。市の公契約条例に違反して意中の業者を選定し、第3で示したようにコロナ禍の経営状況について「フェイクニュース」を流布した。こうした一連の行動は、客観的データや法令を軽視し目的のため手段を選ばない姿勢を示しており、本計画の問題を告発する市民からは「邪悪その物」と厳しく言われている。(なお、市立病院は2017年度2,1億円の赤字決算を3,771万円の黒字決算に改竄して総務省に報告。してはならない前科がある。)
  • 市長および市執行部 管理者の非現実的な計画に同調し、利益相反となる人事を断行。第2で検証した通り、インフレが増収とコスト増の両面をもたらすという経済の基本を無視し、第4で指摘した建設地の物理的リスクを「地震が起きても震度5以下」「農業用水路が溢れたら水門を閉めればよい」と過小評価するなど、市民の財産と生命を守るべき市長として基本的な危機管理リテラシーが欠如しています。
  • 市議会 本来、行政をチェックするべき立場でありながら、その機能を完全に放棄。「市長に任せる」「黙って賛成」といった無責任な姿勢で、杜撰な計画の進行を許してきた。「市立は赤字が当然」「職員が頑張るなら赤字でよい」といった発言に象徴されるように、本来持つべき財政監督や政策評価の意識が完全に欠落しています。半数の議員は『市民の会』の緊急提言は読まない、自ら勉強しない、アンケート調査に答えないなど、議員としての劣化は目を覆うばかりである。
    ※A26:市議会は市民のためにある
  • 建設場所は議会が一旦決めたら変更できないというが、危険な現場を見ないで判断している。また、波田は冬場における日照時間が一番短い場所であり太陽光発電の効率を研究していない。
    前回、某会社の土地購入でも、松本市土地開発公社の規則を調べれば、汚染された土地は購入できないと明記してある。理事者や病院の提案を精査せず了承する無責任さが今の議会を象徴しています。

これらのリテラシーの欠如と無責任な体質こそが、市民の財産と生命を危険に晒す計画が、誰にも止められることなく暴走している元凶である。この根本原因を正さない限り、真に市民のためになる未来を描くことはできない。リテラシーとは特定の分野に関する知識や能力であり、適切に理解・解釈・分析して社会に役立てるものです。

第2章:未来への提言

7. あるべき姿:「身の丈に合う病院」への転換

これまでのリスク分析は、現行計画がいかに多くの矛盾と危険性を内包しているかを明らかにした。今、松本市に求められているのは、この計画を白紙に戻し、より現実的で地域の未来に貢献する病院像を一から再構築することである。その具体的な姿こそ、**「身の丈に合う病院」**である。
※A21:地域医療構想の背景にある2025年問題

国の医療政策との整合性

「身の丈に合う病院」とは、国の大きな医療政策の流れに沿った病院である。急性期医療は大病院に集中させ、中小病院は激増する高齢者医療を担うという役割分担が基本となる。市立病院が担うべきは「地域型病院」の医療です。これは、病気を完全に治すことだけを目指すのではなく、高齢者が病気や衰えと付き合いながら、尊厳をもって地域で暮らし続けることを支える医療を意味します。具体的には、高齢者の4大疾患とされる**「嚥下性肺炎・心不全・尿路感染症・骨折」**といった病気に対応し、適切な治療とリハビリを通じて患者の在宅療養を支援することが、その中心的な使命になります。

地域ニーズへの対応

高齢社会における真の地域ニーズは、**「フレイル(虚弱)と認知症対策」**にある。2020年の専門家会議の提言にある「フレイルサポートセンター」を病院の核に据え、訪問看護・介護・リハビリテーション機能を大幅に充実させるべきである。これにより、地域の要介護予備軍を減らし、住民が住み慣れた地域で長く健康に暮らし続けることを支援する。これこそが、税金を投じる価値のある、真に地域に役立つ病院の姿である。

この「身の丈に合う病院」というコンセプトは、2020年に専門家会議が示した「病床数削減(199床→166床)」や「フレイルサポートセンターの新設」といった「提言」の趣旨にも完全に合致する、最も合理的で持続可能な選択肢なのである。

結論:計画の即時中断と、市民のための代替案策定を

杜撰な計画は市と病院のトップが病院建設を目的化し、組織の統治と法令順守を壊したことによる。新病院は20年先を見越し高齢化・人口減少社会に対応するため、国の方針に沿い松本医療圏の他病院と連携し、増加する高齢者のニーズに応えることができるか否かにかかっています。

本稿は、新・松本市立病院建設計画が「統治」「財政」「経営」「安全性」「場所」という5つの側面において、相互に連鎖する看過できない重大リスクを内包していることを明らかにした。市の財政能力を大きく超える投資、国の医療政策と乖離した非現実的な事業内容、そして患者の安全を脅かす構造的な欠陥。これらは、計画の根本的な妥当性を覆すに十分な根拠である。

現行計画をこのまま推進することは、市民の財産と安全に対して計り知れない負担を強いる、非合理的かつ無責任な選択であると断定する。よって松本市は、現行の建設計画を直ちに中断し、本稿で提言した「身の丈に合う病院」を軸として、財政的持続可能性と地域医療の未来を真に考えた、抜本的な代替案の策定に、市民参加のもとで着手すべきである。市民には、この無責任な計画を拒否し、真に地域のための医療を実現する代替案を要求する権利と責任があります。

  • 具体的対案:プランB

単なる「縮小」ではありません。財源を「ハード(建物)」から「ソフト(人・システム)」へ振り向ける、積極的な戦略の転換です。

比較項目従来計画(ハコモノ)プランB(機能重視)
ターゲット総花的・全方位回復期・在宅支援
競合関係競合(Red Ocean)連携(Blue Ocean)

プランBがもたらす「3つの実利」

目指すのは

「地域で一番頼りになる、生活を支える病院」=「身の丈に合う病院」です。
見えない将来コストを直視し、回復期・地域包括ケアへ機能を集中させる決断こそが、松本市の医療を守る唯一の答です。

新松本市立病院建設構想について、持続可能性と経営の観点を中心に分析し、松本市民の皆様に向けた資料を作成しました。以下の資料は、現状の計画が抱えるリスクを明確にし、将来の松本市にとって「本当に必要な病院の姿」を提案するものです。

資料の解説とポイント

このプレゼンテーション資料は、以下の3つのポイントを軸に構成しました。

  1. 「建物の立派さ」と「医療の質」を切り離す:
    多くの市民が誤解しがちな「大きな病院=良い病院」という認識に対し、機能分化(役割分担)こそが現代の医療経営の正解であることを説いています。近隣に信州大学医学部附属病院や相澤病院、さらに二次救急を担う複数の病院がある松本医療圏において、市立病院が同じ土俵(何でも診ることのできる急性期)で戦うことの経営的無謀さを指摘しました。
  2. 「隠れたコスト」の可視化:
    建設費(イニシャルコスト)だけでなく、将来にわたって市民の税金で補填し続けることになる維持費や赤字(ランニングコスト)のリスクを強調しました。これは経営コンサルタントが最も重視する「ライフサイクルコスト」の視点です。
  3. 対案(プランB)の提示:
    単なる反対に終わらず、「回復期・地域包括ケアへの特化」や「ダウンサイジング(規模を縮小)」といった、現実的かつ持続可能な代替案を提示することで、建設的な議論を促す構成にしています。

「豪華すぎる夢と冷酷な現実」

ストーリーの概要: 市長が推進する豪華な新病院計画に対し、市民の松本さんが財政、医療体制、建設場所の観点から次々と現実的なツッコミを入れることで、計画の危うさを浮き彫りにする風刺漫画です。
注:建物は200億円(153億円と金利他)以上の象徴です。松本市の200床未満の病院は国立系病院が当時で60億円、私立病院40億円、最近の私立病院80億円ですから、市立病院は破格の金額です。常時稼働しているのは6診療科なので普通のことしかできません。建設場所は危険区域の象徴です。長野市の地附山にあった老健施設が山崩れで壊滅したことを思い出して下さい。中央運動広場は農業用水路の上の斜面の工事ができないのですから、崩落の危険性は否定できません。